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香木

1996年 「薬玉」って何?

旧暦の五月はもう「盛夏」とされます。(歳時記)
盛夏とはよくいったもので他の季節では「さかり」という文字は使われません。
当然のごとく暑い暑い真っ盛りの夏なのです。今の暦でおおよそ6月の末から7月初旬ぐらいです。
日本では昔からこの頃になりますと、蒸し暑さも最高となり食べ物は腐りやすく、食中毒や伝染病などが猛威を奮いました。
この旧暦の五月五日の節句に薬玉を部屋の中に吊しました。

中国から渡来したはじめの頃は「薬玉」の中身は漢方生薬だったそうです。
人が体の中に漢方生薬の香りを取り込むことは自然治癒力を高める効果があると云われています。

これを「香薬効果」といい、現代ではアロマテラピーと呼んでいます。
猛暑の夏、食中毒や伝染病から身体を守る願いを込めて、「薬玉(くすだま)」を吊したのです。
健康でありたい、無事でありたいと願う気持ちの表れだったのです。

後世になって、「薬玉」は漢方薬としての実際の効果よりも、むしろお呪(まじない)として形だけのものになってきました。
掛け軸の絵に「薬玉」を描いて床の間に掛けるなどの習慣も見られました。

また、五月五日の節句の日のお風呂に菖蒲を入れます。お湯の熱さで菖蒲の香りがプンと鼻をつきます。これも菖蒲の殺菌効果で、病気予防のひとつなのです。
「丈夫な子供に育つ」というお呪もここからきているのです。

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